公園からの帰り道や車の中、ベランダから空を見上げているときなど、真っ赤に染まった夕焼けを見て子どもに「なんで空が赤いの?」と聞かれ、答えに詰まったことはありませんか。
実は夕焼けが赤い理由は、なぜ_空は青いので紹介した「空が青い理由」と同じ現象の“裏側”なんです。この記事を読めば、毎日夕焼けの色が違う理由や「マジックアワー」の正体まで、大人もドヤ顔で子どもに説明できるようになりますよ。
結論!夕焼けが赤い理由は「太陽の光が空気を通る距離が長くなるから」
一言で答えるなら、夕焼けが赤い理由はこれです
夕方は太陽の位置が低くなり、太陽の光が空気の中を通る距離が昼間よりずっと長くなります。すると、青い光は途中で散らばりきってなくなってしまい、散らばりにくい赤い光だけが最後まで残って目に届くから、夕焼けは赤く見えるのです。
空が青く見える理由と夕焼けが赤く見える理由は、実は同じ「光の散らばりやすさ」の話がひっくり返っただけなんですね。とはいえ、このまま子どもに伝えるにはまだ少し難しいですよね。まずは、子どもの年齢に合わせた「すぐ使える答え方」を見ていきましょう。
5歳の子どもにも分かるように言うなら
未就学児には、擬音語を使ってイメージしやすく伝えてあげるのがポイントです。
【こう教えてあげよう!】
「お日さまが低いところに来ると、お日さまの光は空気の中をながーい道のりを通ってくるんだよ。その間に、青色の光は『パーン、パーン』ってあちこちに散らばっちゃって、なくなっちゃうの。でも赤色の光は散らばりにくいから、最後まで元気に残って、わたしたちの目に届くんだよ。だから夕方は赤くなるんだよ」
小学生に言うなら
理科に興味を持ち始める小学生には、空が青い理由とのつながりを教えてあげると、より深く納得できますよ。
【こう教えてあげよう!】
「昼間、太陽が高いところにあるときは、光が空気を通る距離が短いから、波長が短い青色の光がよく散らばって、空全体が青く見えていたよね。でも夕方になると太陽が低くなって、光が空気を通る距離がぐーんと長くなるんだ。距離が長い分、青色の光はどんどん散らばって、目に届く前になくなってしまう。逆に、波長が長い赤色の光は散らばりにくい性質があるから、長い距離を通ってもちゃんと残って、わたしたちの目に届くんだよ。だから夕方は赤く見えるんだ」
それでは、大人にもわかりやすく、さらに詳しく解説していきますね!
【大人向け解説】夕焼けが赤くなる理由をもっと詳しく
ここからは、パパ・ママ向けの詳しい解説です。子どもに「なんで夕方だけ赤くなるの?」と重ねて聞かれたときに備えておきましょう。
太陽の光が空気を通る距離が長くなるほど赤くなる仕組み(レイリー散乱のおさらい)
なぜ_空は青いのでご紹介したとおり、太陽の光には波長の短い青い光ほど空気の粒(酸素や窒素の分子)にぶつかって強く散らばる性質(レイリー散乱)があります。昼間は太陽が空の高いところにあるため、光が大気を通る距離は比較的短く、青い光が空じゅうに散らばって空が青く見えます。
ところが夕方になると太陽の高度が下がり、太陽光は大気を斜めに、しかも長い距離を通って地上に届くようになります。距離が長くなればなるほど、波長の短い青い光はどんどん散乱されて、私たちの目に届く前に使い果たされてしまいます。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくいため、長い距離を通っても最後まで生き残り、地上まで届きます。これが夕焼けが赤く見える理由です。気象庁も「雲・大気現象・大気光象について」のページで、この波長による散乱のされやすさの違いを空の色の説明に用いています。
出典:気象庁「雲・大気現象・大気光象について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq13.html
理科年表オフィシャルサイト(国立天文台編)でも「夕方太陽の光が地平線近くから地面を照らすときは空気を通過する距離が長いので、青い光はほとんどなくなり赤い光だけが残っているので、夕日が赤く見える」と解説されています。
出典:理科年表オフィシャルサイト「なぜ夕日は赤く、空は青いのですか?」国立天文台編
https://official.rikanenpyo.jp/posts/6656
同じ理屈は朝焼けにも当てはまります。国立国会図書館 レファレンス協同データベースの回答でも、波長の短い光ほど大気中で散乱されやすい性質(レイリー散乱)によって、朝方・夕方は青系の光が途中で散らばり、赤系の光が優位になることが説明されています。
出典:国立国会図書館 レファレンス協同データベース「夕焼けはなぜ赤いのですか」
https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000030266&page=ref_view
面白いのは、空の色は一瞬で赤く変わるわけではないという点です。太陽の高さが少しずつ下がるにつれて、大気を通る距離も少しずつ長くなるため、空の色は「赤→オレンジ→黄→青」(朝はこの逆順)と、虹の色の並びに近い順番で段階的に変化していくと言われています。
出典:ウェザーニュース「朝焼け、夕焼けの空はなぜ赤くなるのか? 空は『虹色』の順に変化する」
https://weathernews.jp/s/topics/202011/020225/
※気象情報会社の解説です。今度夕焼けを見るときは、太陽が沈むまでの数十分、空の色がどう変わっていくか親子で観察してみるのも面白いですよ。
夕焼けの色は毎日同じじゃない?水蒸気とちりの量が鮮やかさを左右する
「昨日の夕焼けはオレンジっぽかったのに、今日は真っ赤」と感じたことはありませんか。これは、空気中に漂う水蒸気やちり(エーロゾル)の量が日によって違うためだと言われています。
水蒸気やちりが多いと光がより強く散乱・反射されるため、赤色が一段と強調されやすく、台風が近づいているときなどに「燃えるような真っ赤な夕焼け」が見られやすいそうです。反対に、空気が乾燥してちりも少ない冬は、赤色に加えて波長がやや短い黄色やオレンジの光も散乱されずに届きやすいため「黄金色の夕焼け」になりやすいのだとか。また、空気が澄みわたる秋も、夕焼けが特に美しく見えやすい季節だと言われています。
出典:ウェザーニュース「神秘的な美しさを放つ夕焼け 赤く見える理由とは?」
https://weathernews.jp/s/topics/201811/280075/
「夕焼けの色は季節・気象で変わる? 冬の特徴はきれいな黄金色」 https://weathernews.jp/s/topics/202212/050215/
つまり、夕焼けの色は毎日同じ仕組みで起きているのに、その日の空気の状態によって表情が変わる、いわば「その日限りの作品」なんですね。
夕焼けの前後にも面白い現象が?マジックアワー・ビーナスベルト・地球影
夕焼けの前後の空にも、実は面白い現象が隠れています。
日の出前や日没後、太陽が地平線の下に隠れていてもしばらく空が明るい時間帯を「薄明(はくめい)」と呼びます。天文学的には、空の暗さの度合いによって「市民薄明」「航海薄明」「天文薄明」の3段階に分けられています。写真や観光の分野では、この時間帯のうち赤系に染まる時間を「マジックアワー」や「ゴールデンアワー」、その後の青系に変わる時間を「ブルーアワー」と呼ぶことがあります。
出典:Honda Kids「魔法のような色の空はなぜ見える?薄明・マジックアワーのナゾ」
https://www.honda.co.jp/kids/explore/twilight/
※マジックアワーなどの呼び名は写真・観光分野での通称で、学術上の正式名称ではありません。
さらに、夕焼けを見るとき、実は太陽と反対側(東側)の空にも別の現象が起きています。地平線に近い部分に見える薄い青色の帯を「地球影(ちきゅうえい)」、その上に見えるピンクや薄紫色の帯を「ビーナスベルト」と呼びます。地球影は沈んだ太陽の光が作る地球自身の影で、ビーナスベルトは太陽と反対方向の大気で夕日の赤い光が散乱されて見える現象です。条件が良ければ、日本でも観察できると紹介されています。
出典:国立極地研究所 昭和基地observation blog「グリーンフラッシュとビーナスベルト」
https://nipr-blog.nipr.ac.jp/jare/20240222post-465.html
西の空だけでなく、反対側の東の空にも目を向けると、夕焼けの時間がもっと楽しくなりそうですね。
実は同じ理由!火星の夕焼けが「青い」ってホント?
ここまで「夕方は赤くなる」という地球の話をしてきましたが、実は同じ光の散乱という仕組みなのに、まったく逆の結果になる星があります。それが火星です。
探査機マーズ・パスファインダーが撮影した画像から、火星の夕焼けは赤ではなく「青く」見えることが確認されています。火星の大気には、赤色光の波長に近いサイズのダスト(砂ちり)粒子がたくさん舞っており、このダストによる散乱のせいで、昼間の火星の空はむしろ赤〜オレンジ色に見えます。ところが夕方になると、太陽の光が大気を長く斜めに通過する間に、赤色光の方がより強く散乱されてしまい、散乱されにくい青色光だけが残って目に届くため、夕焼けが青く見えるのです。
出典:名古屋大学宇宙地球環境研究所「惑星50のなぜ|43.火星の夕焼けは何色?」
https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/wakusei/43.html
群馬大学共同教育学部「火星の青い夕焼け」
https://phys.edu.gunma-u.ac.jp/bluesunset.html
地球の空はレイリー散乱、つまり気体分子による散乱が主役でしたが、火星の空はダストという大きめの粒子による散乱が主役です。散乱する粒子の性質が違うだけで、結果がまるっきり逆になってしまうというのは、大人が聞いても「へえ!」と思わず声が出てしまう豆知識ではないでしょうか。
親子でやってみよう!夕焼けウォッチングで色の変化を観察しよう
夕焼けは、特別な道具がなくても、空を見上げるだけで楽しめる自然の観察対象です。
天気の良い日の日没前後30分〜1時間、同じ場所から西の空を観察し続けて、「赤→オレンジ→黄」と色が変わっていく様子を親子で実況してみましょう。「あ、今オレンジになった!」と声に出すだけでも、立派な自由研究になりますよ。
西の空だけでなく、同じタイミングで太陽と反対側(東の空)も見上げてみましょう。ピンク〜薄紫色の「ビーナスベルト」や、その下の薄い青色の「地球影」が見えないか、親子で探してみてください。西と東、両方の空を見比べるのは、この記事を読んだ人ならではの楽しみ方です。
数日〜1週間、同じ時間に夕焼けの写真をスマホで撮って比べてみるのもおすすめです。晴れて空気が澄んだ日と、少し湿気の多い日とで、色の濃さや鮮やかさが違うか、親子で話し合ってみましょう。水蒸気やちりの量で夕焼けの表情が変わるという話を、実際に目で確かめられます。
「今日の夕焼けは何色が強いかな?」と、ぜひ親子で問いかけ合ってみてください。
まとめ:夕焼けが赤いのは「空が青い理由」の裏側だった
夕焼けが赤く見えるのは、夕方になって太陽の位置が低くなり、太陽の光が大気を通る距離が長くなるためでした。距離が長くなる分、青い光は散らばり尽くしてしまい、散らばりにくい赤い光だけが最後まで残って私たちの目に届きます。なぜ_空は青いのでご紹介した「空が青い理由」と、この記事の「夕焼けが赤い理由」は、同じレイリー散乱という仕組みの表と裏だったんですね。
今度夕焼けを見かけたら、ぜひお子さんと一緒に色の変化や、東の空のビーナスベルトを探してみませんか?

